近年まれにみるデヴィッドボウイ最大の話題となったのは、2001年にリリース予定だった未発表アルバム『TOY』の流出音源であろう。今まで 『TOY』と題されたコレクターズ・アイテムは数多くあったが、どれも幻となった未発表アルバムのタイトルを拝借したライヴ音源であったりアウトテイクであったり、またラジオ音源であったり、或いはそれらを組み合わせたものなど、どれもファンの想像を超えるものではなく、本来の形、スタジオでレコーディングされた『TOY』の内容は知られることがなかった。それが本作で初登場となるのである。もちろん今まで完全未発表だった「Hole In The Ground」を含む完全収録であり、ボウイのニューアルバムとして成立するクオリティではないかと海外でも話題になっている、それがこの未発表アルバム 『TOY』である。
一曲目「Uncle Floyd」は後に再レコーディングされ、後に「Slip Away」と改題され「Afraid」と共に『Heathen』に収録。「Baby Loves That Way」と「I Dig Everything」は1965年と1966年にリリースされたシングルのセルフカバー、 「Conversation Piece」は1970年に作られた曲、「Let Me Sleep Beside You」「In The Heart Of The Morning」の2曲も未発表曲で、BBCライヴでのみ聴くことが出来たものである。アルバムタイトル曲の「Toy」も後に「Your Turn To Drive」と改題され発表された。「Shadow Man」は1971年の未発表曲、そして目玉の「Hole In The Ground」は 今回初登場の完全未発表曲。「You’ve Got A Habit Of Leaving」と「Liza Jane」 に至っては、1965年デイヴィー・ジョーンズ時代のシングル曲である。
最後の2曲「Liza Jane」と「The London Boys」はアルバムではなく、シングルのB面用ストックとも言われており、最終的なアルバムがどのような形になる予定だったのか依然として霧の中であるが、この2曲をボーナストラックとしてとらえれば、大きくひとつのコンセプトが浮かび上がってくるのではないか。
また、ボーナストラックとして、1967年の貴重なアセテートの両面「Everything Is You」と「Social Girl」の2曲を収録。こちらはセルフカバーではなく、 1967年当時のアセテートより収録している。若く瑞々しいボウイの歌声が新鮮に響くことだろう。
THE 'TOY' ALBUM 01.Uncle Floyd 02.Afraid 03.Baby Loves That Way 04.I Dig Everything 05.Conversation Piece 06.Let Me Sleep Beside You 07.Toy 08.Hole In The Ground 09.Shadow Man 10.In The Heat Of The Morning 11.You’ve Got A Habit Of Leaving 12.Silly Boy Blue 13.Liza Jane 14.The London Boys