LED ZEPPELIN
[ IN THE BOSTON TEA PARTY 1969 ]
DATE 19690126
PLACE Boston Tea Party, Boston MA U.S.A.
LABEL wendy
CODE WECD-268_9
SOURCE Audience
TYPE 2CD
PRICE ¥ 6,930
⇒数 量:

《 Products Information 》

日本が、神武天皇即位から数えて建国2600年以上の歴史を有するのに対し、アメリカは、1775年の独立戦争から150年にも満たない新興国である。それまではアメリカはイギリス領であった。宗主国イギリスの植民地政策は本国のみが潤うという片務的なもので、その点、日本が韓国や台湾に対し行なった同化政策との違いが顕著である。そんなアメリカ建国前夜の1773年、イギリスの植民地政策に不満を持っていたボストンの住民が、港に停泊していたイギリス東インド会社の船荷であった紅茶の箱をひっくり返してことごとく海に投げ込んだ事件があった。たかが紅茶の箱を海に投棄しただけのことであるが、これがアメリカ独立革命を象徴する事件として後世に伝えられている。それが世に言う「ボストン茶会事件」である。

ボストン・ティー・パーティといえば一般に、この1773年の「ボストン茶会事件」を指す。この事件はボストンの住民の独立への気概を示すものとして地元では誇りとなっているのであろう、元々教会として使われていた建物を改装してコンサート会場にすることになった、その際、会場名をこの事件にちなんで「ボストン・ティー・パーティ」と名付けたのである。1967年のことであった。

当初はローカルな小さなコンサート会場であり、地元の名もないミュージシャンが出演するだけの、どこにでもあるイベント会場であったが、程なくして有名なミュージシャンがここで演奏するようになった。ニール・ヤング、ジミヘン、フロイド、ザッパ、ザ・バンド、クリーム、フー・・・フリートウッドマックに至ってはこの場所でライヴ・アルバムのレコーディングを行なっている(リリースされたのはずっと後であるが)。ライヴ会場としてのボストン・ティー・パーティは、当時のサイケデリック・ムーヴメントと密接にリンクし、サンフランシスコのフィルモア・ウェスト、フィラデルフィアのエレクトリック・ファクトリーと並び、ロックの聖地としての地位を確立していった。そして、我らがレッド・ツェッペリンが、ここボストン・ティー・パーティでライヴを行なったのは1969年であった。

まだ初々しい時代のツェッペリンは、1969年1月23日から26日まで、4日連続公演をボストン・ティー・パーティで行なっている。本作の裏ジャケットに掲載されている当時の開場の中の様子を見るに、非常に狭い会場に大勢の聴衆が立錐の余地もないくらい詰めかけているのがわかる。この時点で既にツェッペリンの動員力は4連続公演では補えまでになっていたということだろう。この4連続公演からは、残念ながら1月24日と1月25日の音源というのは発掘されていない。しかし幸運にも、初日1月23日と最終日1月26日の音源は高音質で残されている。本作は、この1969年1月23日と1月26日の両日のボストン・ティー・パーティ公演を収録したものである。

【1969年1月26日公演】
この日の音源はコンサートが高音質にて完全収録で残されている。内容もさることながら音質も素晴らしいもので、初期を代表する音源のひとつとなっている。オープニングはイントロで歪むギターをアドリブいっぱいに弾きまくる「The Train Kept A Rollin’」である。長いイントロが加えられ、お馴染みのボンゾのドラムが入ってもジミーは気にすることなくインプロを紡いでいる。そしてロバートの合図で長いイントロから曲に突入する。とにかくジミーが絶好調なのが伝わってくる演奏であり、途中ミスも散見されるものの、基本フレーズを踏襲しつつも随所にアドリブを挿入し、非常に聴き応えのあるものとなっている。

一瞬の静寂の後、ロバートの絶叫が狭い会場内に響き渡る。「I Can’t Quit You」である。ここでも主役はジミーであろう。長いギター・ソロでは指が休むことなく滑らかに、まるで指が勝手に動くんだぜといわんばかりの運指具合である。 3曲目をロバートは「次の曲はKilling Floorだ」と紹介しているが、これは後に「Lemon Song」として世に出るプロト・タイプである。とはいっても曲はほぼ完成しており、大きな差異はない。ただイントロに激しい前奏が加えられており、最初は何の曲かわからないくらいである。ギター・ソロでは流石に弛緩する部分もあるが、勢いのあるこの時期のツェッペリンにはそれもまた味に思えるから不思議である。

ツェッペリンのキャリアを通して常にハイライトであった「Dazed And Confused」は、この時点ではまだ12分程度の演奏にとどまっている。もちろん他にも長大な曲が控えているからもあるだろうが、後に30分以上に発展する「幻惑されて」が原型に近い形で演奏されているという点においても貴重なものであろう。イントロでジョン・ポール・ジョーンズがベースの2音を短く重ねて演奏しているのも珍しい聴き所である。「You Shook Me」には幾分ドタバタした演奏であるが、尾を引くギター・フレーズと、ねっとりまとわりつくようなヴォーカルとが練られて、曲の持つあの気怠い感じが強調されている。この曲も12分あまりと「幻惑されて」に匹敵する長大なものとして演奏されている。

この日の「Communication Breakdown」もまた、珍しいこの時のみのアレンジとなっている。演奏自体が4分半ほどの短いものでありながら、さらに初めの1分20秒くらいがインプロヴィセーションによる長いイントロなのである。このようなアレンジは他で聴いたことがない。その長いイントロからおもむろに、あの有名なリフに入り、まるで疾走するかのように曲に突入する。かと思えばブレイク的に途中でテンポを落とし、それから再び激しくエンディングに向かうなど、他のライヴにおける「Communication Breakdown」を聴き慣れた人ほど楽しめる演奏であろう。

ジミーの独奏「White Summer」を挟み、バンドは「Babe I’m Gonna Leave You」に移る。この曲はこの時期にしか演奏した記録がなく、 1970年以降解散まで一切演奏されることがなくなった曲である。そのため1969年のライヴを収集する動機の大きな要因となっている。静から動へ、そしてまた静へと、強弱というよりも濃淡が行き交うような構成を持つ曲であり、1969年の厚いベールがかかったツェッペリンのライヴの深遠を覗き見るような気持ちになる。ディスク1の最後は「Pat’s Delight」である。これは後に「Moby Dick」として継続されるボンゾのドラムソロを魅せるための曲である。バンドによる前奏はこの曲独自のもので、これもまた1969年でしか聴けないものである。

コンサートの最後を締めくくるのは「How Many More Times」である。長大な曲の中でもこの日は15分に渡る演奏となっている。イントロのメロディに乗せてロバートがメンバー紹介をしている。後年の「Whole Lotta Love」のように、様々な曲をメドレーで前後を挟むという構成ではなく、純粋に長いソロが続けられたため、このような長時間に渡ったというものである。

【1969年1月23日公演】
日程的にはこちらが先になるのだが、この日は7曲しか音源が確認されていないので、ボーナストラック的にディスク2の後半に収録されている。先述のように1969年1月のボストン・ティー・パーティ4連続公演は、本作に収録されている2公演のみが現在聴くことが出来る。1月23日の演奏も26日に劣らず素晴らしいのだが、注目すべきは「As Long As I Have You」を演奏している点であろう。1月26日には演奏したのかしなかったのかは不明だが、音源は残されていない。しかし初日のこちらには収録されているという事から、その日によってセットリストにマイナー・チェンジがあったのかもしれない。それでなくても同一会場連続公演なだけに、意図的にセットリストに変化を加えた可能性もある。いずれにせよ「As Long As I Have You」を演奏している点がこの初日の特長である。

メンバーがステージ上でチューニングをしている中、司会者が静かにツェッペリンを紹介する。その紹介の言葉が終わるか終わらないかというタイミングでオープニングの「Train Kept A Rollin’」のイントロが被さってくる。バックは絶好調だが、ロバートはいくぶん抑制気味な歌いまわしである。通常、この曲から間髪入れずに「I Can’t Quit You」に入るのだが、この日は演奏後にロバートがMCを入れているのが珍しい。簡単な挨拶と次の曲の紹介をかなり長くしゃべっている。音源のみからは伺い知れないが、機材か何かのトラブルがあって繋ぎ弁士をしているのではないだろうか。

そして「As Long As I Have You」である。日によって演奏する日としない日があるが、1969年のコンサートではハイライトのひとつに挙げられる未発表曲である。ベースとなる構成はあれど、踊るベースに暴れるドラム、インプロを次々に繰り出す激しいギターに絶叫ヴォーカルと、各メンバーの特色をぶつけ合わせたような、基本的にその場のノリでいかようにでも変化させることが出来る曲であるだけに、演奏ごとに異なる表情を見せてくれる。

さらにこの後には「Dazed And Confused」が控えている。イントロにおけるジミーが聴き慣れない奇妙な音を出している。日が近いディスク1に収録の26日の演奏と比べても、かなり演奏が異なるのがわかる。これぞツェッペリン・ライヴの醍醐味ともいうべき楽曲であろう。残念ながら23日の演奏は「You Shook Me」までで、後半は発掘されていない。

【THE BOSTON TEA PARTY 1969】
本作は、1969年1月に行なわれたボストン・ティー・パーティの4日連続公演より、初日と最終日の両日を高音質で収録している。何せ50年近く昔のテープなのでレストアにはかなり時間をかけている。まずピッチに関しては完璧に調整してあるので、当時の勢いある演奏が正確なスピードで鑑賞することができる。次に音質であるが、おそらく1969年のオーディエンスとしては最高のもののひとつであろう。特に最終日1月26日の音源は高音質で古くから有名だったもので、それを正確なピッチと完璧な内容でCD化されたことは特記すべき点である。いずれも1stジェネレーション・テープから保存用にDATに移したものがマスターとなっているので、現在考え得る最高の音質であると言える。

ツェッペリンのマニアの間では「1969年最強説」を唱える人がいる。確かに本作を聴くと、それが正鵠を射た説であると認識できる、まさに凄まじい演奏である。最強の時代における、最強の時期の、最強の荒らし・・・じゃなくってえ、最強の演奏、若きツェッペリンのパフォーマンスを本作で聴いて頂きたいと思う。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。

BOSTON TEA PARTY, BOSTON MA U.S.A. January 26, 1969
DISC ONE
01. Train Kept A Rollin'
02. I Can't Quit You
03. Killing Floor
04. Dazed And Confused
05. You Shook Me
06. Communication Breakdown
07. White Summer - Black Mountain Side
08. Babe I'm Gonna Leave You
09. Pat's Delight

DISC TWO
01. How Many More Times

BOSTON TEA PARTY, BOSTON MA U.S.A. January 23, 1969
02. Introduction
03. Train Kept A Rollin'
04. I Can't Quit You
05. As Long As I Have You
06. Dazed And Confused
07. You Shook Me

 

 

CLOSE

 

GO TO TOP

Copyright(C) - Phantom On-line - All Rights Reserved.